社長ブログ”千客万來”

ハラスメントとは

最近「ハラスメント」という言葉を頻繁に聞くようになった。スポーツ選手に対するコーチのパワーハラスメント(パワハラ)、官僚の女性記者に対するセクシャルハラスメント(セクハラ)など、日々新聞紙面で見かける。ハラスメントとは、行為者本人の意識の有無に関わらず、相手を不快にさせたり、自身の尊厳を傷つけられたと感じたりさせる発言や行動を指すそうで、職場の悩みにおいてもいじめを含むハラスメントが最上位に来るという。ハラスメントの主なものには、パワハラ、セクハラに加えマタニティーハラスメント(マタハラ)があり、3大ハラスメントと言われている。他にはカラオケを強要する「カラオケハラスメント」というのも有るらしい。労働環境の整備の為にも、企業は今後ハラスメントに関する対策をしっかりする必要がある。厚生労働省のハラスメントに関するパンフレットには「ハラスメントを受けたとき」の対策として、「ハラスメントは、受け流しているだけでは状況は改善されません。『やめてください』『私はイヤです』と、あなたの意思を伝えましょう。黙って我慢していると事態をさらに悪化させてしまうことがあります。問題を解決していくことが、同じように悩んでいる他の人を救うことにもつながります」と記載されており、加えて「ハラスメントは個人の問題ではなく会社の問題です。会社の人事労務などの相談担当者や信頼できる上司に相談しましょう」と結んでいる。因みに富山県トラックにも相談窓口が設置してあるので遠慮なく相談して欲しい。経営者として、社員にとって風通しが良く働き易い職場を作る為には、社員がつらいと感じる事をすくい上げ、悪いところを良くしていく責任があるのは言うまでもない。ただ、どこか人任せにして、自分に見えているものだけを信じていると、大切なことを見落としてしまう。社員の声に耳を傾け、コミュニケーションをしっかり取り、ハラスメントの無い職場を作って行きたい。

吉澤比佐志

人手不足の今考えるべきこと

 最新の富山県の有効求人倍率は1.99倍となり、多くの企業は採用で苦労をしている。団塊の世代のリタイヤに加え、今後少子化が加速していく中で、この状況はますます深刻化していくことだろう。こうなることは何年も前からわかっていたことであるが、多くの企業やそこで働く人たちは他人事のように考えていたのかも知れない。そんな中、人手不足の解消方法として人工知能(AI)が注目されている。今後多くの仕事がAIに取って変わられることは間違いないと思う。そうは言っても、AIの導入には多額の費用が必要であり、システムの構築には専門的な知識や人材も必要であるため、短期間で人間をAIに変えていくことは容易ではない。

 では、当面の人材不足をどうやって解決すればいいのだろうか?私は「協力」だと考える。例えば人材不足を抱えている企業で、上司は問題点を正確に把握し、部下に指示しているだろうか?それを部下が理解しその問題の解決のために社員同士が協力をして行動しているだろうか?社内のコミュニケーションは良好だろうか?これほど厳しい採用環境の中では、人手不足の解消は、生産性の向上以外には無い。これまで10人でやっていた仕事をいかに9人、8人と減らしていくかである。AIに頼る前に先ず行うべきことは、社員同士が力を結集し、互いに知恵を絞って生産性の向上を目指すことである。人材が豊富にある時代はもう終わって、人材を大切にし、活かすことを真剣に考える時代になったのである。

 加えて、企業同士の協力の必要性も痛感する。例えば運送業界において、ドライバー不足はもっと深刻であり有効求人倍率は3倍を超えている。そして、ドライバーの大半が50歳以上であることを考えれば、今後車輌の供給が更に不足する事は免れない。弊社では一年を通して、求車の問い合わせが断つことが無くなった。加えて、政府の働き方改革で、運行回数に制限がかかり、車は奪い合いになるだろう。倍の運賃を払うと言われても、コンプライアンスに反する事はできないのが現状である。そんな中でも、全てのトラックが常に荷物を満載して走っているわけではない。現在ある車輌になるべく効率よく品物を積んで走る協力を荷主企業と運送会社はしなければならない。また、ドライバーの拘束時間の短縮のために、荷役作業の見直しも協力して行っていかなければならない。

 かつて世界中のどの国も経験しなかった急激な人口減少と少子高齢化を経験する日本では、企業や立場の違いを超え、お互いの存在を尊重しあえる、成熟した協力体制の構築が不可欠である。その上で物流の在り方を共に模索しなくてはならないと思う。

吉澤 比佐志

運賃・料金の収受ルールの変更について

 平成29年11月4日より、標準貨物自動車運送約款の一部改正が実施された。これにより、今まで「運賃」として支払われた対価は運送に係るものだけであり、今後は運送以外に行っている「付帯業務」「積込み・荷卸し」「荷待ち時間」には料金を設定し、荷主は運送業者に支払う事が必要となった。この料金に関して、運送業者は約款に設定し、営業所に掲示しなければならない。本来の運賃契約は「車上渡し 車上卸し」が原則で、ドライバーは積込み荷卸しの作業は行わない事になっている。しかし、規制緩和による車輌の供給過剰により、「何でもやるから荷物を下さい」と営業した結果、ドライバーが、検品、積込み、荷卸しなどの付帯業務を無料で当たり前に行う事になった。加えて、積込み、荷卸しに係る荷待ちが長時間発生し、運転手は休息する時間もなく残業時間が過労死レベルになっており、政府の「働き方改革」によりメスが入る事になったものと推測される。

 前述した通り、このような状況になった一因は運送業者にもある。しかし現在、ドライバーは慢性的に不足しており解消の糸口は全く見えない。平成26年度総務省「労働力調査」によるとトラックドライバーは約83万人である。このうち、55歳以上の就業者数は約35%、25歳未満の就業者数は約8%であり、ドライバーの減少を食い止めるためには、労働条件や待遇改善は待ったなしと言える。この状況を荷主の方々に理解し協力していただくため、我々はお願いを続けている。幸いほとんどが理解して下さるが、今までの仕組みを一挙に変える事は容易ではなく、今後は荷主企業と運送業者が話し合い、改善に努めなければならない。

 昨今労働力不足の目玉としてモーダルシフトやAIが議論されているが、それらが短期間に成果を上げる事はないだろう。輸送方法や納期など、今の常識が未来の常識ではない事を痛感して、物流の仕組み自体の再構築を喫緊の課題と捉え、対策を行っていかなければならないと思う。


吉澤比佐志

井村雅代さんの講演会を聞いて

 先日ある会合で、シンクロナイズドスイミングの日本代表コーチの井村雅代さんの講演を聞く機会に恵まれた。正直言って、リオオリンピックで日本が久しぶりにメダルを獲得した時は、この人が戻ってきたから当然と思っていた。しかし、短期間でそこまでになる為に彼女は想像を超える厳しい指導をし、同時にメダル獲得につながる色々な仕掛けをしている事が分かって、大変有意義だった。

 井村さんが日本代表のコーチに戻って来た時の日本の世界ランクは6位で、オリンピックに出場できるチームが8つだった。メダル常連国の日本がそこまで落ちてはいたが、自分が指導すれば何とかなると最初は思ったそうだ。しかし、現実は全く違っていた。先ず選手たちは、「みんな一緒」の練習をしていた。プールは技術を競い合う場所なのに、それを忘れている。「絆」と言いながら、実は誰かがやってくれるだろうという意識が蔓延していた。そこで、個人の力があってこその「絆」でありチームであることを伝え、問題が有れば徹底的に追い詰め、「自分を褒めたい」などという甘えを排除した。頑張りは他人が評価するものだという事を教えたそうだ。そして、成長の為に大きな目標をかかげ、日々の努力を重んじたそうだ。大きな目標でも1mmずつの頑張りが必要である事を説いた。

 そして、井村さんは外見的に見劣りする日本選手を本番で輝かせるために、技術以外の面にも大いにこだわった。強豪国の選手はほとんどが170cm以上の身長があり、手足が長く立っているだけで美しい。一方日本選手は177cmが一人いるが、160cmそこそこが二人いる。そこで、曲に徹底的にこだわった。シンクロは普通早いテンポの曲が多いが、それでは手足の美しさが際立つため、スローテンポの曲を採用し、最後の1分は心臓の鼓動を感じるテンポで盛り上げた。そして、掛け声は選手たちの声を入れ録音した。この勢いに乗って、審査員が思わず高評価をするよう仕組んだのだそうだ。また、水着も日本の技術を集結し、「防透け(ぼうすけ)」という白でも透けない美しい水着を採用した。

 ご存知の通り、日本チームは銅メダルを獲得した。井村さんの好きな言葉は「練習は嘘をつかない」「練習は試合のように試合は練習のように」「自分の可能性を信じよ」「限界は自分が決めている」との事。選手達は練習のように試合をした。過呼吸にまで追い込んで限界までやらせたことの責任は、メダルを取らせることにより果たしたと思うと語った。最後に「3流の人は道に流され、2流の人は道を選び、1流の人は道を作る。」
という言葉で締めくくった。彼女の生き様が詰まった凄い講演だった。

吉澤比佐志


富山県民は閉鎖的か?

 去る7月5日、富山市の機械製作メーカー「不二越(ふじこし)」の本間会長が、中間決算発表の記者会見の場で、今後はロボット事業に力を入れ、全国や世界から広く人材を採用したいとした上で、「富山で生まれて地方の大学に行った人でも極力採らない」「(同県出身者は)閉鎖された考え方が非常に強い」との趣旨の発言をして、県内で物議を醸すこととなってしまった。富山県民としてみれば、かなりカチンとくる発言であると思う。

 不二越と言えば、従業員の8割が富山県出身者であり、創業から90年近くもその人たちが支え続けてきた企業であることに、何ら異論はないところだろう。それを承知でこの発言に至った裏には、いろいろな事情が有ったものと思われる。確かに、私が学生・社会人を経験した東京は、開放的で多種多様な人材が存在し、個性的で柔軟な考え方を持った人が多かった。富山に戻って生活してみると、考え方は保守的であり、多様な価値観を受け入れるのは苦手であるようにも思える。富山を愛する私がそう思うのだから、東京出身の会長はきっと苦労されたのだと思う。無意識ではあるが、県外出身者に対して、たとえ長く富山に住んでいても、「旅の人」等と表現する事を、呼ばれた本人たちは言いようのない違和感を持ち、「閉鎖的」と感じているかもしれない。

ただ、これは富山だけではなく、地方に行けばそれぞれの土地で考え方や価値観は違い、受け入れにくいものがあると思う。しかし、違うから悪いという事にはならないし、その土地で生活するためには否定するのではなく、受け入れる事から始まると思う。

 今回このような場で、富山県民が不快に思うような発言が有ったことは、とても残念だと思う。「こうすれば、もっと富山はもっと良くなる」という事を県外出身者の目で語ってもらえれば、きっとお互いの為になったと思う。こんな形で富山県と本間会長の関係が終わるのはとても残念だ。一方、富山の人たちには、この発言を感情的に非難するのではなく、真摯に受け止める懐の深さを期待したい。そして、決して富山県民は閉鎖的でない事を証明してもらいたい。


吉澤 比佐志